気管支喘息について

気管支喘息のイメージ写真

気管支喘息とは気道の慢性炎症を本態とし、ゼイゼイ、ヒューヒューといった気道の狭窄が変動性におこり呼吸困難や咳などの症状をきたす疾患です。咳が主な症状である場合、咳喘息と呼ぶこともあります。夜間や早朝に悪化する傾向がみられ、感冒や、運動、天候の変化、笑いなどで誘発されます。古典的にはアレルギーの原因物質に対するIgE抗体が検出されるアトピー型と、検出されない非アトピー型に分類されていましたが、最近では、これらに加えアレルギー細胞である好酸球が関与せず、喫煙や大気汚染、逆流性食道炎などの多様な原因からなる喘息もあることが解ってきています。またこれらの臨床的分類の背景にある分子病態の解明もすすめられています。アレルギー原因物質が気道上皮に接触すると、リンパ球(ヘルパーT細胞や自然リンパ球)からでるインターロイキンなど(TSLP IL4 IL5 IL13)のタンパクを介して好酸球を活性化、気道の平滑筋を収縮、IgE抗体産生を誘導するなどの作用がおこります。また別の経路として好中球などを介するメカニズムもあります。これら分子病態が解明されることで、特異的なタンパクを阻害する新薬が登場しています。
喘息の診断は意外に難しく、喘息でない人が喘息と診断されていたり、喘息の人が長きにわたり診断されていなかったりすることがよくみられます。当院では呼吸機能検査、血液検査、呼気一酸化窒素測定など行い適切に診断するよう努めていきます。
特殊な喘息としてはアスピリン喘息(アスピリン限らない鎮痛解熱薬が誘因となります)、アレルギー性肺アスペルギルス症、血管の炎症に伴う喘息(好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)、COPDに合併する喘息(オーバラップ症候群)などがあります。
薬物治療の基本は吸入ステロイド薬になります。現在、多種類の吸入薬が登場し、気管支拡張剤との合剤も発売され吸入手技も簡単になってきています。吸入薬を確実に使用することで喘息による入院や死亡は劇的に減少しました。当院ではうまく吸入薬を使えコントロ−ルできているかを確認しながら診療していきます。難治性喘息の場合、新たな生物学的製剤や気管支熱形成術を考慮する必要があり、専門施設と連携して診療いたします。